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調理法

2021.04.21
黒大豆について
Text by 丹波篠山市農業遺産推進協議会

江戸時代の料理本「料理網目調味抄」(享保15年(1730))では、煮しめた黒大豆を「座禅豆」と呼んでいます。「座禅豆 かたく煮るは豆を布巾でふきて生醤にて炭火にて煮る くろ豆は丹州笹山名物なり」と書かれていることから、砂糖を使わず醤油で煮た、硬めで塩辛い煮豆だったと考えられます。

 

ところが「黒白精味集」(延享3年(1746))には「堅き和らかは好次第、又砂糖を入る方あり」と記されおり、好みによって、やわらかめの座禅豆や甘味を加えたものもあったようです。

 

文政13年(1830)発行の「嬉遊笑覧」では、江戸時代後期の文政年間(1818~1831)には座禅豆が正月料理の定番になっていたことや、かつては酒の肴として盛んに食べられていたことが書かれています。

 

「食道楽」(大正9年(1920))には、今日のような甘い煮豆のレシピが記載され、日本一の黒大豆は丹波篠山産のもので、「産額は極く僅少ですけれども、味の佳いことは殆ど無類です」と、その希少性と品質の良さが紹介されています。

 

「料理網目調味抄」(享保15年(1730)) 国立国会図書館所蔵

「座禅豆」のレシピ。その右側は煮しめのレシピが記述されています。

江戸時代からの栽培面積

2021.03.26
黒大豆について
Text by 丹波篠山市農業遺産推進協議会

丹波篠山の黒大豆は、江戸時代中期の寛延年間以降(1748~)、年貢米の代替え作物として藩が奨励し、文政元年(1818)には、43haで栽培されていました。しかし明治維新以降、廃藩により納品先がなくなったことで栽培面積は減少。明治5年(1872)には、わずか1haになったといわれます。

 

この頃、日置地区の大庄屋であった波部本次郎が、優良な種子を「波部黒」と名付けて各所に配布。内国勧業博覧会への出品などで名声を博し、昭和2年(1927)、栽培面積は20haにまで回復しました。

 

ところが、米に比べ収益性が低いため、昭和35年(1960)には10haまで減少し、消滅の危機に直面しました。しかし、昭和46年(1971)から始まった減反政策のもと、江戸時代からの栽培技術が活かされ転作作物となったことで再び栽培面積が増加。令和元年(2019)現在では、枝豆を含めると777haで栽培されるようになりました。

 

 

 

乾田高畝栽培技術

2021.03.26
黒大豆の栽培
Text by 丹波篠山市農業遺産推進協議会

黒大豆「丹波黒」は、畝と畝との間が160cm、畝の高さが50cm以上という、独特な畝に植えられます。一般的な黄大豆の畝の高さは30cm以下ですから、その大きさも特筆です。

 

丹波篠山は水分を含んだ粘土質の水田が多く、大粒の黒大豆を植えた場合、種子が水分を吸収するまでに時間がかかります。そのため種子が腐りやすく、発芽率が低下してしまいます。そこで、溝を掘って水はけを良くする「堀作」という畑作の方法が始まり、やがて畝をできるだけ高くして土を乾燥状態にする「乾田高畝栽培技術」が生まれました。

 

豆類は、同じ畑で連続して栽培すると、収量が低下するなどの連作障害が発生します。しかし、水田と畑地とを定期的に入れ替えたことで、連作障害の回避と収量の確保につながりました。

ほかにも、中耕培土や摘心技術などの栽培技術が先人たちによって生み出され、乾田高畝の技術とともに、良質な黒大豆の生産につながっています。

 

 

江戸時代からの栽培面積

2021.03.26
黒大豆について
Text by 丹波篠山市農業遺産推進協議会

丹波篠山の黒大豆は、江戸時代中期の寛延年間以降(1748~)、年貢米の代替え作物として藩が奨励し、文政元年(1818)には、43haで栽培されていました。しかし明治維新以降、廃藩により納品先がなくなったことで栽培面積は減少。明治5年(1872)には、わずか1haになったといわれます。

 

この頃、日置地区の大庄屋であった波部本次郎が、優良な種子を「波部黒」と名付けて各所に配布。内国勧業博覧会への出品などで名声を博し、昭和2年(1927)、栽培面積は20haにまで回復しました。

 

ところが、米に比べ収益性が低いため、昭和35年(1960)には10haまで減少し、消滅の危機に直面しました。しかし、昭和46年(1971)から始まった減反政策のもと、江戸時代からの栽培技術が活かされ転作作物となったことで再び栽培面積が増加。令和元年(2019)現在では、枝豆を含めると777haで栽培されるようになりました。

 

 

 

栄養価

2021.04.21
黒大豆について
Text by 丹波篠山市農業遺産推進協議会

黒大豆は、タンパク質に優れ、食物繊維やミネラル、鉄分が豊富です。整腸作用や腸内細菌の活性に役立つオリゴ糖、細胞の新陳代謝に必要とされるレシチン、女性ホルモンに似た働きをするとされるイソフラボンなどの成分も多く含んでいます。

 

また、黒大豆は、抗酸化作用を持つアントシアニン、ポリフェノール、ビタミンEといった機能性成分が多いのも特徴です。これらの成分は、動脈硬化やガン、老化の予防、免疫機能の低下抑制に効果があるといわれています。

 

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