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丹波篠山
黒大豆の物語

大粒の黒大豆「丹波黒」は、
里山の人々の知恵と工夫が息づく
丹波篠山生まれの特産品。

煮豆にすれば、ふっくらつやつや。
あの日おばあちゃんが作ってくれた
おせち料理を思い出す、どこか懐かしい味。

あわただしい暮らしの中で、
ふと立ち止まらせてくれる、
そんな瞬間、そんな食材。

三百年以上にわたり受け継がれ、
日本農業遺産に認定された
「丹波篠山の黒大豆栽培」
その魅力を紹介します。

ムラぐるみの生産方式を築き上げ、農家同士で種子の交換などを行いながら、“世界一の大粒”と言われる黒大豆「丹波黒」を作り上げました。今も人々が暮らす茅葺きの家屋、先人の知恵が詰まった肥料作りの灰小屋、稀少なモリアオガエルやオオサンショウウオが棲むため池など、里山の景観と資源を守り育みながら、丹波篠山の黒大豆栽培は、脈々と受け継がれているのです。
しばしば水不足に悩まされてきた丹波篠山。集落の人々は知恵を出し合って、稲作をしない「犠牲田」で米以外の作物を育てるようになりました。これが丹波篠山の黒大豆栽培の始まりです。

丹波篠山の黒大豆の歴史は深く、江戸時代中期に刊行された料理本「料理網目調味抄」では、「くろ豆は丹州笹山の名物なり」と評価され、醤油や酒で煮しめるレシピも紹介されています。長い年月を経て今もなお、「丹波黒」はおせち料理に欠かせない人気食材。一般的に百粒の重さが40gで大粒とされる黒大豆の中で、なんと「丹波黒」はその倍の80g以上。その粒の大きさをはじめ、漆黒の色つや、芳しい香り、素朴な甘さ、そして、ふっくらもちもちの食感が魅力で、高級品として珍重されています。